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『六月の満月』(一雫ライオン)ができるまで⑯

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「『六月の満月』ができるまで」は当初3〜4回くらいで終わる予定でした。

3〜4回では全然終わらなかったのですが、この回を最終回にしようかなと思います。『六月の満月』が「できてから」も語るに足る物語があるにはあるのですが、それは書く機会があったら書こうかな、と。

前回、プルーフを作った時のことを書きました。そして、その最後に「本を作るって、やっぱり面白い。人とも出会えるし、心が動くし。」と書きました。『六月の満月』を作ることで僕が得たものって、これに尽きる気がします。出会いと感動(落ち込んだりしたこともたくさんあったけど笑)。

プルーフをお送りした後、読んでくださった書店員の方から感想が届きました。それが嬉しくて、お礼のメールを送っていたのですが(あの時期はずっとメールと手紙を書いていた気がします)、ある方から熱い返信をもらって、それが嬉しくてまた返信をしていたら、その方がライオンさんを「推し作家」に選んでくださいました。その後もやり取りが続き、未来屋書店さんの公式YouTube「推しえて作家さん!!」にライオンさんが登場する流れになりました。ライオンさんがインタビューを受けたのは、その書店員の方がいらっしゃる未来屋書店古川店さんです。

別の書店員の方には、2月末くらいにメールをお送りしました。そうしたら、熱い長文の感想をくださって(ライオンさんと一緒に「あんま気にいってもらえなかったんですかね」と話していただけに、この感想はすごい嬉しかった)、しかもそのメールの最後に「というわけで」というさりげない言葉が添えてあり……。何の気なしに読み進めた僕は、おののきました。とんでもないご注文冊数が書かれていたからです。嬉しすぎてライオンさんにすぐ電話。ライオンさんは電話口でその書店員の方の名前を叫んでいました。ちなみに、その書店さんはこの「『六月の満月』ができるまで」をA4に出力してお店で掲出してくださっています。紀伊國屋書店梅田本店さんです。5月中旬に大阪出張があって、その際にちょっとお店に寄ったらまだ入り口のところでドドン!と展開してくださっていて、驚くやら感動するやら。嬉しくて、やる気がみなぎりました。

このお二方だけではありません。『六月の満月』は、語れば尽きないほど多くの書店員の方達に支えていただき、読者の皆さんに読んでいただきました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

発売から2ヶ月弱、ついに先日重版をかけることができました。ライオンさんにそのご連絡をしたら、一つお願いがある、と言われました。「書店員の方たちにお礼の言葉を届けてほしい」というのが彼の願いでした。

「読者」や「書店員」には、当たり前ですがそれぞれに人生があり、それぞれに事情があり、それぞれに好きな本があります。ライオンさんと僕がやりたかったのは、そういう方たちと直接触れ合うことでした。作品を気に入っていただけなかったら仕方ない。でも、せめてその体温は感じたい。だから、可能な限り書店を回りたいと思っていました。

そのためにも僕らは『六月の満月』を作らないといけませんでした。ライオンさんが作家で、僕が編集者である以上、「読者」や「書店員」と触れ合うためには作品を作らないといけないからです。『六月の満月』の見本ができた時、それはもちろん嬉しかったのですが(何と言っても創立記念作品ですし)、ライオンさんと何となく「ここからですね」みたいな話をしたことを覚えています。ついに僕らが体を動かす時が来た、と。ライオンさんの体調の問題もあるし、僕も僕でへばり気味ではあったけど、書店とアポが取れた時は素直に嬉しかった(最初に書店に電話した時は緊張して自分でも何を喋ってるのかわからないくらいだったけど)。「本当に来てくれるんですか?」とおっしゃった方もいたけど、僕らはどこへでも行くつもりでした。今でもそうです。僕らはどこへでも行くつもりです。動き回った果てに、人と出会って、その出会いが新たな面白いことを生んでくれたらいいな、って思っています。

本を作るって、やっぱり面白い。人とも出会えるし、心が動くし。