日々の仕事Blog
雑談のような、インタビューのような。
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先週、ある人と雑談のようなインタビューのような時間を共にしました。
2019年に本を出した著者なのですが、あれから6年。その方は僕と同世代なので「この6年、色々ありましたね」という雑談でもすれば、それなりに話は深まっていきます。コロナ禍という激動であったり、「40代」という難儀であったり、仕事との向き合い方だったり。ある程度のコンセプトは共有していましたが、話はあっちこっちに転がっていきます。でも、予期せぬ方向に話が転がったとしても、無理に話を戻すこともしませんでした。
その「あっちこっちに転がる」感じが、とても面白くて心地よかったからです。「このテーマについて聞こう」という向き合い方だとこぼれてしまう何か。その「何か」はちょっとした呟きだったり表情だったりに感じるものなのですが、意外に思った何かを追いかけてみると話が面白い方向に転がっていくのです。脱線OKの雑談が、図らずもインタビューを深めるというか。「そんなこと思ってたのか」とか「それとそれがつながるのか」とか、いちいち面白い。そして、それは僕が感じる本の面白さに似ているように思います。本筋やテーマとはちょっと離れたところに、意外なほど養分が高い何かが落ちている感じ。
その方と共有した時間は、大きな意味では「人生」を語る時間だったような気がします。こちらが欲しい言葉を語ってもらう誘導をしなかったがゆえに、その語りは調理しやすいわけではありません。でも、そういうワイルドな素材をどうやって本の形にしていくか考えるのは僕にとっては新しい挑戦なので、「面白いなあ」という思いと「面倒だなあ」という思いが入り混じっています。
この「面倒だなあ」という思いこそが、面白い本を作るために必要な要素な気がします。そして近年の自分はその要素が入らないように意識的にも無意識的にも上手に立ち回ろうとしていたような。効率よく本を作るために、調理しやすい素材を集めるようにしていたのかもしれません。今回のやり方は、まずは天然物の素材を手に入れて、そこから調理法を考える感じ。自分の中ではそれなりに大きな変化です。うまくできるかも実はよくわかっていません。でも、雑談のようなインタビューのような録音素材を聞き返しながら、しっかり面倒くさがっている自分がいることを「これで良し」としたいと思います。