日々の仕事Blog
編集者の1週間(2)
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前回の続きです。
7月3日(木) 世田谷→目黒→渋谷→世田谷
今日も朝からゲッターズ飯田さんの本の編集&ゲラ作業。
午後に目黒で2時間ほど打ち合わせ。その後、渋谷で人と会って、仕事場に戻る。ゲッターズ飯田さんのゲラ作業をしながら、合間合間に『僕には鳥の言葉がわかる』を(鈴木俊貴著)読んでいたのだけど、気づいたら読み耽っていた。シジュウカラが言葉でコミュニケーションを取っているということを「ダーウィンが来た!」で知って感動したので、この本はどうしたって読みたかったのだけど、想像以上に面白い。シジュウカラの「言葉」にしても「ジェスチャー」にしても、著者の鈴木さんがひたすら観察を続け、「これはもしかしてこういうことなのでは?」という仮説を自分で立てて、それを検証していく姿に胸打たれる。鳥の鳴き声に詳しいわけではないけど、これから鳥の声を聴いたら「なんかやり取りしてるのかな」と思えて楽しそう。こうやって、自分が知らなかった何かと出会えるのは本のいいところだと思う。自分のペースで読めるし。
読み耽った間は作業が進むわけがないので、久々に夜遅くまで作業。目がシパシパする。
7月4日(金) 世田谷→闇鍋会
いよいよ校了が迫っている『ゲッターズ飯田の五星三心占い開運手帳2026』の編集作業を朝からひたすら。
夜、一雫ライオンさんと合流。書店員や出版社の方が集まる「出版闇鍋会」に参加。150人以上が集まっていて大盛り上がり。ライオンさんと一緒に書店員の方達に挨拶して、書き下ろし作品「六月の満月」、日刊ゲンダイ連載「十二の眼」のご説明を。文学賞の受賞パーティとかにはよく行っていたけれど、それとも違う空気で面白かった。みんなエネルギッシュというか。
会の後、ライオンさんと軽く酒。「十二の眼」の8月掲載ぶん原稿の締め切りが迫っているので、「どんな感じですか?」みたいな話をする。僕はプロットをあまり重視しないというか、そこから逸脱しても面白くなるならその方がいいと思っているのだけれど、この日聞いたライオンさんの「こうしようと思っている」はだいぶ驚いた。すごいこと考えるなと感嘆。早く本にしたい。
7月5日(土) 世田谷
来週もそれなりに忙しいので、午前は体を休める。午後、ゲッターズ飯田さん書籍の作業を3時間ほど。その後、来週の打ち合わせの準備として、「こういう話をしよう」という自分の考えをまとめる。こういう時、なぜか昔からA4裏紙が一番思考整理ができる。バババッと書いて、もうちょっと深掘りしようと思った件を別の裏紙にまたバババッと書いて、みたいなことを繰り返すと自分が何を考えていたか可視化できるというか。2つの案件に関してA4裏紙バババッの作業をして今日の仕事は終了。ジムで安全地帯を聴きながら軽く走る。
帰宅して「テッド・ラッソ」を鑑賞。なんだろうこの多幸感は。クセになる。その後、ラッパー般若のドキュメンタリー「その男、東京につき」を観て昂ぶる。昂ぶりのまま、般若の『あの頃じゃねえ』を聴く。刺さる。
7月6日(日) 世田谷
今日も朝からゲッターズ飯田さん書籍の作業。終わりが見えてきた。のだけど、ここからゴールまではそれなりに遠いというのは経験則でわかっているので、焦らず粛々と作業を進めていく。こういう作業の果てに本が完成するわけで、だからこそ嬉しいし、多くの人に読んでもらいたくなる。
午後、一雫ライオンさんから「十二の眼」の原稿が届く。日刊ゲンダイ8月掲載ぶんの全21話。書き手はどうしたって作品に入れ込むので、だからこその盲点があり、そういうことをなるべく冷静に指摘する(ことを心がける)。でも、編集者もどうしたって作品に入れ込むから、時に迷子になることも。こういう時のために僕は案件ごとのメモをファイルにまとめていて、それを見返すと、「あ、そうだ。こういうことを相談しようと思っていたんだ」とか「こういう展開になるのかなって予想したんだった」とか思い出せる。原稿を読んだあと、「十二の眼」ファイルを見返して、コーヒーを飲みながらA4裏紙バババッの作業をして、考えを整理してライオンさんに電話。最初のページから話していって、気づけば1時間。
(これは翌日の話だけど、ライオンさんは原稿の直しがうまい。こちらが指摘したことを咀嚼して、こちらが想像した以上の面白さで返してくる。こういうやり取りが結構好き。改稿原稿を読みながら、「おぉ、すごいなあライオンさん」と声が漏れる。その後数回のやり取りを経て、入稿原稿を整える)