日々の仕事Blog
警察小説の原稿を天竜浜名湖鉄道で読む
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書き手から原稿をいただく。それを読んで、自分の意見や感想をまとめる。その後、書き手と打ち合わせをする。
編集者がやることを簡単に書くとそういうことだったりすると思うのですが、僕の場合は「どこで原稿を読むか」も重要な気がします。書き手と打ち合わせをするまでにはいただいた原稿を複数回読むので、著者に伝える「論理的な意見」をまとめるにあたってはそれほど大きな影響はないかもしれないのですが、自分個人の「感覚的な感想」は場所の影響を強く受けるというか。「こういう場所でこういう状況で読んだのでこういうことを思った」みたいなのって結構大きいような気がしています。
たとえば、先週、一雫ライオンさんから『十二の眼』の連載原稿の続きをいただきました。僕も初めて読む原稿です。ちょっと事情があって初読なのにノートパソコンで読まざるを得ませんでした(それなりに分量のある原稿の初読は出力して紙で読みたいのですが、この時はそれができず)。場所は池尻。なんか雨がすごくて、ちょっとそっちにも気を取られた状況。別件でもちょっとしたトラブル発生で、それ関連の電話がいつ来るかわからないという時間帯。そういう条件で原稿を読んで、自分なりの意見をライオンさんに電話でお伝えし、ちょっと手直ししてもらいました。
↓連載開始直前に掲載されたライオンさんインタビュー
翌日修正原稿をいただきました。その原稿を読む状況は、初読時と異なります。場所は静岡駅。人と合流する前の時間でカフェに入って熟読。熟読はできたのですが、この時もノートパソコンで読まざるを得ませんでした。紙で読めていないのでちょっとした不安が拭えません。なので、念のため3回読んでからライオンさんに電話。
週末にゲッターズ飯田さんのイベント仕事があったのですが、掛川が近かったので「せっかくだし」ということで天竜浜名湖鉄道に乗りました。その際、出力した「十二の眼」の原稿(この時持っていたのは、日刊ゲンダイの掲載に合わせて八十四話、八十五話……と各話を日割りした原稿)を持っていって、田園風景にいやされながら紙で拝読。そして、浜松に移動して、もう一回カフェで熟読。
池尻と静岡はちょっと忙しないタイミングだったのですが、天浜線&浜松は気持ちも落ち着いてるし、車窓の景色は穏やかだし、乗客の話し声が逆に集中力を高めてくれるし、ということで、自分なりに「もう大丈夫」と思えるところまで読み込みができたと思います(今回いただいたのは物語中盤から後半に移っていく頃合いの原稿だったのですが、かなり面白くて読み応え抜群でした。面白い原稿は編集者を元気にさせてくれます)。
振り返れば、それなりの回数を読んだような気がするのですが、書籍化する際にはまた何回も読み返すのだろうと思います。その結果として、『十二の眼』が多くに人の手に渡れば、こんなに嬉しいことはありません。どうぞよろしくお願いいたします。