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『六月の満月』(一雫ライオン)を入稿しました

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一雫ライオンさんの書き下ろし小説『六月の満月』を入稿しました。

アルバイトとして編集の仕事を始めたのが20数年前なので、入稿という作業自体は数えきれないほど経験しています。ですが、今回の入稿は感慨深いものがありました。流星舎として刊行する初の単行本になるからです。印刷所の方にご連絡して急遽お時間をいただき、直接細かい申し送りをしながら、入稿完了。ここ1〜2ヶ月忙しくて疲れが溜まっていましたが、何だか体も軽くなった気分。

『六月の満月』の初稿をいただいたのは4月初旬なので、約半年かけて原稿をブラッシュアップしたことになります。ライオンさんはその間、日刊ゲンダイで連載している『十二の眼』の締切に終われ、それだけでなく、北國新聞の「新土曜小説」に掲載する「波の花」という短編小説も書いてくださいました。この半年を思い返すと、毎日何かしらの件でライオンさんとやり取りしていたような気がします。

↑「北國新聞」に掲載された「波の花」

最終的に入稿した原稿は第七稿です。初稿を思い出してライオンさんと笑ってしまったくらい大幅な修正を施してもらいました。主要登場人物の性格は大きく変わり、何なら登場人物も変わり、ストーリーも大きく変更してもらった『六月の満月』。私も編集者として大きな刺激と学びを得た半年だったように思います。でも、この半年のおかげで作品は深みを増し、すごく面白い小説になったと思っています。何かを直すたびに新たな矛盾や壁が生じましたが、ライオンさんは「だったらこうするのはどうか」「こういうふうにしたらもっと面白くなるんじゃないか」と、妥協することなく『六月の満月』に取り組んでくださいました。

哀しくも優しい世界観の中で、魅力的な登場人物たちが静かに躍動する物語です。読み応えのある小説になっていると思うので、どうぞよろしくお願いいたします。