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一雫ライオンさんの日刊ゲンダイ連載「十二の眼」のこと

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一雫ライオンさんが6月から日刊ゲンダイで連載している「十二の眼」。冒頭で猟奇的な事件が起き、その犯人を追う刑事たちの視点を中心にして物語は進んでいきます。

(連載前に日刊ゲンダイに掲載されたインタビューがこちら

この作品と同時進行で書き下ろし小説「六月の満月」を進めていました。「十二の眼」がやんちゃなタイプだとすれば、「六月の満月」は引っ込み思案なタイプ。異なる性質でいて、どちらも「ライオンさんっぽいなあ」と思える作品なのですが、その理由は作品全体を貫く「優しさ」なのかもしれない、と最近思っています。これはライオンさんの人生哲学にも通ずるのだと思うのですが、回り道をした人間に対しての眼差しが優しいのです。

「十二の眼」の場合、犯人がいて、警察がいます。法律という観点から見れば、正義は警察にあります。でも、犯人には犯人の正義があり、刑事には刑事の苦しみがある。追う者と追われる者という形で別れた両者が、同じ質量で僕の心に爪痕を残すのです。登場人物の魅力だけではありません。ある日、展開についてライオンさんと電話で話していたのですが、「そんな展開になるんですか!?」と思わずびっくりしてしまったことが。

異なる二作品を同時に進めながら、「どうやったらこの小説は面白くなるか」をまっすぐに考え続けたライオンさん。「六月の満月」はついに印刷所に入稿する段階まで来ました。「十二の眼」もいよいよ連載が佳境を迎えます。ライオンさんと密にやり取りして、きちんとブラッシュアップして1日で早くみなさまにお届けできるよう、丁寧に編集していこうと思っています。