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『六月の満月』(一雫ライオン)の試し読みペーパーを作りました

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一雫ライオンさんの書き下ろし小説『六月の満月』を2026年3月下旬刊行予定で準備しています。

段階としては、初校ゲラの校正がアップするのを待っているところ。このあと、バウンドプルーフという簡易製本された見本を作る予定なのですが、さすがに校正前のものでは作れないので、冒頭試し読みペーパーを作成しました。

出版関係者が集まる会でご挨拶できた方にお渡しするのが目的だったのですが、ライオンさんも僕もPCでのこういう作業が苦手。「両面印刷ってどうやるの?」「この枠の中にこれを入れるにはどうするの?」「ホチキスってどこにとめるの?」などというやり取りを重ね、ライオンさんに奥様にもアドバイスをいただいてやっと出来上がりました。

本来であれば作家に相談するようなことではありません。「作品を書く」ということに注力してもらいたいので。でも、わからないことが多すぎて、「ライオンさんのPCってウィンドウズですよね? 試しに印刷してみてもらえませんか?」などというやり取りを重ねること数回。「できた!」とか「ここ、こういうふうに直しましょう」とか、そういうやり取りでさえ、なんだか面白かったです。ライオンさんと奥様にはご迷惑をかけてしまいましたが……。

ペーパーの裏面には、「流星舎よりご挨拶」という形で以下の文章を載せました。はやくバウンドプルーフ作りたいです。

【流星舎よりご挨拶】

「流星舎」は2025年に創業した新しい出版社で、刊行第一弾として一雫ライオンさんの長編小説『六月の満月』を予定しています。2020年に刊行した『二人の嘘』(幻冬舎)がライオンさんとご一緒した初めての仕事になるのですが、彼が描く不器用な優しさに満ちた世界観に魅了され、「担当作家」「担当作品」という枠を超えた感情を抱くようになりました。その感情は単行本や文庫を刊行した後も弱まることはなく、いつしか「この人と一緒に新しい勝負がしたい」と思うようになり、独立を決意しました。ライオンさんの小説を読むと、まるで物語の中に自分が入り込んだような感覚を味わえます。登場人物の息遣いや心の揺れが鮮やかに伝わり、おかしな言い方ですが「この登場人物と話してみたい」という感情が湧き上がるのです。これだけ濃厚な小説世界を描ける作家は稀有だと信じています。まだ新しい出版社と作家ではありますが、今後とも末長いお付き合いをいただければ幸いです。